乳腺の症例

乳房の病気には

乳房の病気には、おもに良性と悪性とがあります。《悪性≒乳がん》ですが、しこりが触れるものすべてが悪性(がん)というわけではありません。しかし、しこりが乳がんによるものか、その他の病気によるものかを見分けるためには、専門的な検査が必要です。しこりをふれたら、また検診で要精密検査となったら、必ず専門医の診察を受けるようにしましょう。

乳がんとは

乳がんの患者数は年々増加しており、生涯を通じて女性の11人に1人が乳がんになるといわれています。臓器別でみると、乳がんは女性が一生のうちに1番かかりやすいがんです。また乳がんは40~50歳代女性のがん死亡原因の第1位です。こう聞くと『がん=不治の病』といったイメージが強いと思われますが、乳がんのすべてが命をおびやかすものではありません。乳がんは他のがんに比べて治しやすく、早期発見と適切な治療ができれば、95%以上が再発なく経過します。

乳がんの早期発見のためには、症状がない段階での定期的な検診とセルフチェックが重要です。また乳がんは主に女性に多い病気ですが、男性にも乳がんが発生することがあります。男性乳がんは、乳がん全体の約1%といわれています。

性別にかかわらず症状がある方は、おひとりで悩まずに気軽にご相談ください。

乳がんを疑う主な症状

しこり

乳頭の陥凹

皮膚の発赤

皮膚のひきつれ、へこみ

乳頭からの分泌(血性を疑う茶褐色)

乳房の良性の病気

乳房には下記のような良性の病気もあります。経過観察で済むものもから治療が必要なものまで様々です。少しでも気になる症状がありましたら、早めに受診しましょう。

主な良性の乳房の病気

乳腺症

乳腺自体が凹凸としたしこりのように硬くなり、痛みや張り感を感じことがあります。

乳房の張りや痛みは、月経サイクルによって症状に強弱が起こることがあります。月経周期に合わせて一定期間にだけ痛みなどを起こすこともあります。

多くの場合は女性ホルモンの影響による乳腺の変化と考えられており、乳腺細胞が異常に増生・退化・変化を起こしている状態です。乳房全体におこることが多いですが、部分的にだけに変化が起きる場合もあり、マンモグラフィやエコー検査で乳がんとの鑑別が難しいケースもあるため、穿刺吸引細胞診や針生検による確定診断が必要になることがあります。

乳腺症は病気というわけではないので、診断がついた場合には治療の必要はありません。

症状がある方は、おひとりで悩まずにまずは乳腺外来を受診してください。

乳腺のう胞

乳管がつまり膨らみ『袋』状となり、内部に分泌物が溜まったもの。大きくなれば、しこりとして感じることがあります。乳腺症の一種で、乳房内に沢山出来る場合もあります。女性ホルモンのバランスの乱れが原因の一つと考えられており、月経周期に伴って大きくなることや、吸収されて自然に消失することもあります。

基本的には治療の必要はありませんが、大きくなった場合は針を刺して内部の液体を吸引することもあります。

乳腺線維腺腫

10代~30代の若い世代にできる良性腫瘍(しこり)です。痛みはあまりなく、まわりとの境界がはっきりして、くるくるとよく動くしこりとして触れるのが特徴です。

小さいものは特に治療の必要はありませんが、急に大きくなる場合や、がんとの鑑別が難しい場合は針を刺して確定診断をつけます。しこりだけを摘出することもあります。

自然に消えてなくなることはないですが、年齢を重ねるにつれて小さくなりわかりにくくなることもあります。

葉状腫瘍

線維腺腫と似た腫瘍(しこり)です。しこりとして触れ、急に大きくなることが特徴です。

良性がほとんどですが、中には悪性のものもあるので、疑わしい場合は針を刺して確定診断をつけます。診断がついた場合は、手術での摘出が必要になります。

場合によっては追加治療が必要になることもあります。

乳腺炎・乳輪下膿瘍

乳房が赤く熱感を帯びたり、腫れて硬く触れたり、強い痛みや発熱が起こることがあります。授乳期に乳管がつまり、母乳がうっ滞することで炎症を起こし(急性うっ滞性乳腺炎)、さらに細菌感染を起こして乳腺内や乳輪下に膿が溜まった状態(急性化膿性乳腺炎・乳輪下膿瘍)。

まずは、母乳がうっ滞しないようにしっかりマッサージをして、搾乳してください。必要があれば、抗生物質などの投薬を行います。乳腺内に膿がたまった場合は、局所麻酔をして切開して膿を出します。

*当クリニックでは母乳マッサージや母乳指導は行っておりません。授乳中のしこりや痛みなど乳腺炎と思われるかたは、まずは産科や近隣の母乳相談外来や助産師さんに相談してください。助産師さんから乳腺外科受診の指示があれば受診してください。

乳管内乳頭腫

乳管のなかにできるポリープのような良性腫瘍(しこり)です。

症状としては、乳頭から黄色透明や血液の混ざった分泌物がでる。しこりを感じることもあります。良性の腫瘍ですが、悪性腫瘍(がん)との鑑別が難しいものこともあるので針を刺して確定診断をつける場合があります。大きさや形状の変化がないか、など定期的に経過をみていきます。

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